Chatwork Creator's Note

ビジネスチャット「Chatwork」のエンジニアとデザイナーのブログです。

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対象別 アクセシビリティ啓蒙例

こんにちは、守谷(@emim)です。

当Creator's noteでは茶藤さんというキャラクターも爆誕し、今月はCreator's Note強化月間!となっているのですが、守谷個人的には週末におこなわれるイベントに照準を合わせて、ひとりWebアクセシビリティ強化月間!開催中です。

あ、ぜひ、Webアクセシビリティの学校 オンライン特別授業(デザイナー特集)もどうぞ〜。現在最終調整真っ只中です✊🏻

a11yschool.doorkeeper.jp

さてさて今回は、前回のエントリー祝 🎉 アクセシビリティ改善チームができました! - Chatwork Creator's Noteに入りきれなくなって泣く泣く断念した、「エンジニア以外向け」におこなったWebアクセシビリティの啓蒙施策を紹介します。

ポイントは「私が知ってる情報を全員が知っているわけではない。」という前提を忘れず、いつでも疑問に応えられる知識を蓄えつつ、対象に合ったアプローチをする、というところです。

デザイナーの「初歩的なこと教えて」に応える

前エントリーでも紹介しましたが、プロダクトデザイン部内で「アクセシビリティとはなんぞや」という勉強会は、半ば日課のように取り上げています。

ですが、当たり前ではありますが、新入メンバーが出てくるとベースライン(前提知識)が少しずつズレて来ます。新しい視点からすると「もっと初歩的なところもきちんと知りたい」という思いと、「これはもっと多くの人に知ってもらった方がいいものだ」ということで、改めて声を掛けてくれました。

そこで、有志のデザイナーを集め短時間(全部で1.5時間程度で実施)で私から情報共有しつつ、それを更に他の人達に共有を同時に叶える方法を模索しました。

この時は、難しい話をするより「アクセシビリティというものは障害者向け施策のことではないよ」というところにフォーカスして、「何をするか」よりも「なぜ必要か」ということをガッと話し、当時部内で手法としてプチトレンド入りしていたスケッチノートで、その内容を他部署・他職種向けにまとめる……ということをしてみることに。

軽い勉強会を経て、その場でまとめたスケッチノート
アクセシビリティ施策が今日の自分にも効くケースをまとめた例

対象がデザイナーなので「アクセシビリティ」というワードは聞いたことがあっても、そこまで深く知る(触れる)機会がなかったり、「障害者」「高齢者」というイメージにとらわれていたりしたようだったので、「今日の自分にも効く」というWebアクセシビリティの効果を共有しました。

この後このスケッチノートは、人の目に触れやすい場所……→ トイレの前の壁に2〜3ヶ月掲出され続けて、ある程度のプロモーション効果が得られました。

ちなみにこの後も参加メンバーだったデザイナー(アクセシビリティ初心者)が、別のイベントに参加して興味をもったワード(そのときはディスレクシア)について自分なりに調べ、まとめた内容を掲出する……ということを続けてくれました。

そういえば、、、この時に絵の前で「じっと内容を見る」ということをしてくれたエンジニアが、後にアクセシビリティ改善チームで挙手してくれたエンジニアだったなあ。

非クリエイティブ職種の「知りたい」に応える

前述の通り、誰もの目につくところにスケッチノートが掲出されると、次はプロダクトマネージャー(PM)から声が掛かりました。

元福祉関係職員(Webディレクター経験もあり)だったのもあり、福祉目線やワードとして「アクセシビリティ」を知っていても、具体的にどういったマインド・施策が必要なのかを知らないから、広く浅く教えて欲しいとのことでした。

もともと社内共有用ドキュメント(マニュアル)で一定量情報をまとめてはいたのですが、能動的に取りに行かなくては得られない情報構造になっていたので、今後も使い回しできるスライド資料として入門編内容をまとめました。

と同時に、前述のPMが時間調整など進めてくれていたので、1時間くらいもらって社内でプレゼンを実施しました。

非クリエイティブ職向けに作ったプレゼン資料の一部抜粋キャプチャ
非クリエイティブ職向けの啓蒙資料の一部

東京オフィスでは対面で、その他Chatwork Liveを利用して別拠点にも配信しながらの軽いセミナー会です。

カチッとしたセミナーでもないので都度質問などを得ながら、デザイナー向けの時とは趣を変えた内容で開催しました。

イメージしやすいようにChatwork導入のA社(大企業)を例に取り、当時の公開社員数をベースに「障害者雇用促進法」に基づいた法定雇用者数をもとに算出したアクセシビリティ改善施策の対象となり得る人数を提示した上で、

  • グループウェアの場合には、チーム内に一人でも「使えない」人がいる場合には選出してもらえないという懸念が出てしまう
  • セールス時にはその点を逆手に取り、「組織内に取り残される人を出さないよう、気を使っている企業である」というアプローチが取れる

という方向からの訴求方法を取りました。

ちなみにですね……キャプチャに入れているこのプレゼン資料、Googleスライドのフリーテンプレートサイトからいただいたものをベースに作成しているのですが、初見で気付く方はプロですね……カラーコントラスト比が1:4.5に満たない背景色/文字色の組み合わせが多用されています。そういったこともプレゼンの中に含めながら話しました。

参加者は、Webアクセシビリティというものが世界標準規格であることはもちろん、日本の法定雇用者数などとも関連するとは思ってもいなかったようで、新しい知見につながったようです。

ライトに定期的に触れる機会を作る

社内では出入り自由のアクセシビリティに特化した「アクセシビリティ情報共有/トレンド」というチャットを用意していて、Webに限らないアクセシビリティ関連のニュースなどを収集し共有する*1を設けて関心を引くようにしています。5割方、私守谷が引っ張ってきた情報共有板になっていて、残りは他のスタッフに引っ掛かった情報を共有してくれています。

せっかくなので紹介すると、参考までに、共有した/された情報は以下のようなものです(Twitter成分高め)。

note.com blog.zoom.us jp.techcrunch.com www.getstark.co

これらはもう完全に、「うるさいと思われたとて、常にアクセシビリティを意識できるようにするサブリミナル効果」を狙ったものです。あるいは、「こんなことも『アクセシビリティ』っていうものなのか」ということを感じてもらうためのプロモーションです。

ちなみにチャット概要には、前項で紹介した「Welcome to A11y world!」というスライド資料にいつでもアクセスできるように誘導しています。

まとめ

今回紹介したのは一つ一つ小さな施策です。

ひとつ、個人的にラッキーだと感じていることは、最後の施策を除くとおおむね「新入スタッフが『もっと教えて』と声を掛けてくれたことがキッカケになっている」ということ。

もちろん、それにすぐ応えられるように知識をためておくことも大事ではある一方、初めて触れる人には「こんなことでも惹きになるのか」という参考になると幸いです。

みなさまもよきアクセシビリティプロモーションを!

*1:一方的に、ニュースフィードのようにある程度私や他のメンバーがフィルタリングした情報を流すだけ、という運用チャット