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ビジネスチャット「Chatwork」のエンジニアとデザイナーのブログです。

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アクセシビリティ熱を消さないためにできること

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毎年12月3日は、国際障害者デーだそうです。日本でも毎年12月3日から9日まで、「障害者週間」と定められています。有楽町のほうではこの期間中に特別セミナーも開催されています。Webアクセシビリティに特化した内容はありませんが、カラーユニバーサルデザインや障害者の生活を理解するためのワークショップなど参考になりそうな講座も幾つかあります。

期間限定ではありますが、こうしたイベントを通してアクセシビリティに興味をもつ方が増えることは素晴らしいことです。ただ、事業会社でアクセシビリティを啓蒙・対応していく立場として『期間限定』というわけにはいきません。

昨年Chatworkは、アクセシビリティ方針 を発表し、働くことは誰もがもっている権利というミッションの基、小さな活動を続けていました。例えば社内エンジニア、ビジネスサイドそれぞれにカスタマイズしたセミナーを実施したり、背景と文字色のコントラスト比をWCAG 2.0の達成基準を満たすよう調整を行なっていました。今もサービスサイトのWebアクセシビリティチェックと調整が続いています。

こうした活動はWebアクセシビリティ向上には欠かせませんが、いくつか課題も見えてきました。

  • セミナーを開催することで、その場で熱は高まるものの、すぐに冷めてしまう
  • では何をしたら良い?を考えたとき、すぐに成果が出せそうな『small win(小さな勝利)』が見つからない
  • ひとりで出来ることを考えがちになるので、結局ひとりだけで頑張っている状態になり社内啓蒙としてのインパクトが欠ける

大きなことをしたほうが社員の熱を一気に上げることができますが、その分冷めるのも早いです。そこで、セミナーのように大きなことをしなくても、毎日アクセシビリティのことを気にかけてもらえるような環境作りを整えています。影響力は低く、アクセシビリティ熱が急激に上昇することはありませんが、消えることなく続いています。

具体的な施策として、アクセシビリティに触れることができる専用窓口を設けています。Chatworkではアクセシビリティに特化した2つのグループチャットを運用しています。

  1. 情報共有/トレンド: アクセシビリティに関するニュース、イベントの共有。週に何度も情報更新されており、受動的にアクセシビリティを知ることができる場所。
  2. 対応・相談・報告:実際何をしたら良いのか相談したいとき、実装のやり方に迷ったときなどに使われるチャット。能動的にアクセシビリティに取り組みたい人が参加。

「アクセシビリティ」という大きなトピックを扱った‘グループチャットをつくると、何を書いたら良いのか分からない人がでてきます。そこであえて2つのテーマを設けてどういう知識やノウハウが共有できるのか分類して運用しています。情報共有のグループチャットは情報が行き交うだけになってしまう場合があるので、会話が続くような呼びかけをするなども熱を冷まさないための必要なアプローチです。会話を通して個々の見解がみえてくるので、将来の取り組みのヒントが見つかります。

長くアクセシビリティの活動をして痛感するのが、ひとりのデザイナーでできるアクセシビリティの向上は制限されているということです。Webサイト実装の難易度が高くなっているのはもちろん、部署間の連携なければちょっとしたことを前進させるのも難しいです。また、ビジネスサイドの方の力を借りなければ、実装にすら進まないこともあります。

すぐに具体的な取り組みをすることが理想的ですが、まずはアクセシビリティを『期間限定のキャンペーン』にしないための地道な取り組みが欠かせないと思います。気軽に情報収集や対話ができる場を設けることが、アクセシビリティ熱を消さないための最初にできる取り組みです。