2023年11月に入社し、Chatworkで1人目QAエンジニアをしている稲垣です。
ビジネスチャット「Chatwork」は2011年3月にリリースされ13年経っているサービスです。現在(2023年12月)、664万以上のユーザーにご利用いただいています。
引用元:Chatwork会社説明資料 - Speaker Deck
こうしてみると、今までChatworkにQAエンジニアがいなかったことに驚く方もいらっしゃるかも知れませんね。私もその1人です。
Chatworkの開発チームは既に10チーム以上あり、それに対しQAエンジニアは1人なので、関われる範囲に限りがあります。
また、QAエンジニアと働いたことのない人もいるので、まずはQAについて知ってもらうために「Tea Bash*1」という社内イベントで私が活動してきたことをお話しました。
QAエンジニアって何してるの?
QAエンジニアは「テストする人」ではありません。「品質改善のための活動をする人」です。 品質改善の中でテストをすることはありますが、それは品質改善の一部になります。
品質改善のための活動とは、具体的にはどんなことをするのかイメージできますか?
具体的に何をするのかを決めるためには作戦が必要だと考えています。
そこで、プロダクトの作戦をドラゴンクエストの「さくせん」で表してみました。
さくせん「ガンガンいこうぜ」の場合
- リリース後に不具合が見つかりユーザーが影響を受けることで、プロダクトやブランドイメージの信用が下がる可能性がある
- 不具合の検知が遅れ手戻りコストが増加する
さくせん「いのちだいじに」の場合
- テストに時間をかけ過ぎて工数が増加する
- リリース遅延が発生し、価値あるものがなかなか提供できない
「ガンガンいこうぜ」も「いのちだいじに」も良くない作戦のように見えます。
では、どんな作戦が良いのでしょうか?
どんな作戦で行くかを決めるためには、現在どんな状況にあるのかを知る必要があります。
ということで、障害ダッシュボードを作りました。
障害ダッシュボードにより、障害データが可視化され、現在どんな状況にあるのかを知ることができるようになりました。
これで、作戦を立て立ち向かえるようになりました!
障害データを可視化するまでの取り組み
簡単に障害ダッシュボードをリリースしたように見えたかも知れませんが、実はイチから作っています。
ここからは、障害ダッシュボードがリリースされるまでの道のりを紹介します。
障害データを可視化するためには、定量的なデータが必要になりますが、分析したい項目が定量的に取得できる状態になっていませんでした。
ですので、まずは定量的なデータを貯める基盤を整備しました。
- 運用設計をする(分析のために取得する項目の精査や運用フローなど)
- JIRAで新プロジェクトを作成し、設計を基に反映をする
- 関係者に説明会を行い、運用を開始する
上記により、エンジニアがチケットに入力すると定量的なデータが貯まっていくという状態が作れました。
定量的なデータが取得できる状態になったため、次は、可視化するためにダッシュボードを作りました。
ダッシュボードはJIRAの機能にもあるのですが、カスタマイズしやすいLooker Studioを使うことにしました。 仕組みは、下記のようになっています。
スプレットシートに拡張機能 「Jira Cloud for Sheets」をインストールしておき、スプレットシートからJIRAのデータを取り込みます。そして、スプレットシートをデータソースとしLooker Studioに反映しています。
できるようになったこと
ダッシュボードをリリースしたことで下記のことができるようになりました。
- 品質がどのような状態にあるのか、容易に確認できる
- 定量的なデータを基に振り返ることができる
- どのような対策が効果があるか予測することができる
さいごに
既に各チームから「ダッシュボードを眺めてディスカッションしたよ!」などの声をいただき嬉しく思っています。可視化することで見えてきた課題に対して、作戦を立てて取り組んで行きたいと思います。
また、定量データとなったことで実施した施策が有効かを判断するための指標にも使えるようになりました。
これにより「継続的により良い品質のプロダクトを、安心して提供できる状態」をつくるための、一歩が踏み出せたと考えています。
試行錯誤しながらですが、一歩一歩着実に進んでいきたいと思います。
*1:Tea Bashとは:エンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャーなど、様々な職種のプロダクトメンバーが集まり、チーム、組織、プロダクトに関わることの共有や発表をする場です。業務時間内に実施しています。