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ビジネスチャット「Chatwork」のエンジニアとデザイナーのブログです。

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PdM の仕事と F1 のレースは似てるかもしれない

この記事は Chatwork Advent Calendar 2023 1 日目の記事です。本日からクリスマスまで社員が 1 つずつ記事を書いていきます。初日は 3 年振りに記事を書くプロダクトマネージャー(PM / PdM)の宮下(@ryugoo_)がお送りします。

何となく思いついたことを、思うがままに書いた記事なので肩肘張らずにご覧ください。

F1 2023 シーズン

突然ですが、私はモータースポーツの F1 観戦を趣味としています。年々値上がりしていく DAZN も F1 観戦のために契約しています。そんな F1 2023 シーズンも 11/26 のアブダビ GP を持って閉幕しました。アブダビ GP では唯一の日本人ドライバーである角田裕毅選手が 8 位を獲得し、そのレース運びから Driver of the day に選ばれました。

角田裕毅選手は来年も所属チームであるアルファタウリからの出走が決定しており、小林可夢偉選手以来の表彰台獲得もあるかもしれないと個人的に応援しています。

www.yukitsunoda.com

F1 におけるレースとは

モータースポーツを見たことが無い方は、サーキットの中を車がグルグル走っているだけで何が面白いのか、難しいのか、楽しいのか分からないのではないかと思います。私も最初はそうでした。

しかし、何度かレースを見ているうちにドライバーごとの走り方の違いやチームごとの戦術の違いというものが分かるようになってきました。すると途端に F1 観戦が楽しくなります。「この選手はアグレッシブにインを取りに行く、このマシンはストレートは遅いけどカーブが異常に早い、このチームのメカニックのタイヤ交換スピードは異常」などです。

そうです。 F1 におけるレースとは、マシンとドライバーとそれを支えるチームメンバー(戦術家、メカニック、トレーナーなど)との共同作業で成り立っているのです。これって、PdM の仕事と何か似てるものがあるんじゃないか?とアブダビ GP が終わった後、お風呂に入っているときに突然脳内に浮かんだので書き出してみようというのがこの記事の趣旨です。

PdM の仕事とは

PdM の仕事というのは一体何なのでしょうか?私は正直分かりません。なぜ分からないかというと、どうも会社ごとに仕事の範囲が違うようだから。それでもあえて共通化すると事業を理解し、ユーザーを理解し、解くべき課題を見つけだし、適切な施策を考え、優先順位を付けて実施して計測することかもしれません。実に多岐にわたります。私一人でそれができるかというと、できません。社内にいる専門家との共同作業です。

プロダクトをグロースさせてユーザーの満足度を上げながら、事業的にも目標を達成しに行く。常に最善の効果を狙って行く。これは F1 におけるレースで優勝を狙うのと同じことです。マシンを加速させて順位を上げながら、優勝という目標を達成しに行く。

一緒ですよね?だけど PdM 一人では目標は達成できません。プロダクトを形作るクリエイター(デザイナー/エンジニア)、データを分析するアナリストなどなど数多くのプロフェッショナルと一緒に目標達成を狙いに行きます。 F1 ドライバーもマシンというプロダクトが無ければレースには出られないですし、レース中も他チームの動向や天気、路面温度などを見ながら戦略を練るストラテジストと一緒に優勝を狙いに行きます。

ブレーキングがレースを決める

さて、この記事で一番言いたかったことの章です。速い F1 ドライバーとそうじゃない F1 ドライバーの違いはどこにあるのか。経験や癖、与えられたマシンといった内外の要因はありますが、レース中、特に大切なのが「ブレーキング」です。ブレーキをかけること。

なぜ速く走るのにブレーキをかけることが大切なのか?それは F1 マシンが走るサーキットは一直線ではないからです。複雑なカーブ、上り下り、他のマシンとのサイドバイサイド、様々なシーンがドライバーの腕を試します。

これらのシーンを単にアクセルだけ全開で突っ込んでいったらどうなるのか?コースアウトです。壁に衝突してマシンは大破。そしてリタイアです。そうならないために、様々なシーンを最速で走り抜けるために必要なだけのブレーキを適切にかけられるかどうか?これがレース中の速さを決めるのです。

そしてブレーキを上手く使わないとマシンはレースを走りきることができません。燃料切れになってしまったり、タイヤが酷使されてグリップしなくなってしまったりします。

ブレーキングは PdM にも必要なスキルなのではないかと私は思います。PdM というとスピード狂のようにアクセル全開で結果にコミットしに行く人も多いのかもしれませんが、プロダクトの成長は一直線ではありません。

プロダクトを取り巻く組織も大きくなっていきますし、関わる人も増えますし、コードは積み上げられて技術的負債も溜まっていきます。プロダクトを取り巻く内外の状況を見て、これからカーブにさしかかっていくのか?隣にはライバルがいるのか?プロダクトというマシンは最後まで走りきれる健康な状態にあるのか?そうした状態を社内の専門家と常にやり取りしながら、目標達成のために走りきる行動を取る必要があります。

ソフトウェアプロダクトにおいて、プロダクトの健康状態はコードへの変更を安心して行える状態になっているのかで左右されます。常に手入れされ、安心して変更できる状態になっているコードは結果として速い施策の実施と結果の取得が可能になります。

しかし PdM がアクセル全開のスピード狂となっていては、コードの手入れをする時間も無く、プロダクトの健康状態はすぐに悪化するでしょう。一瞬の成果のために長期の目標を失うのです。

そのためにも、PdM はブレーキングを適切に行う、つまりアクセル全開で施策一直線となるのではなく、プロダクトを形作る専門家とのコミュニケーションを取りながら必要なシーンでプロダクトの手入れをする時間を取ることが必要なのではないでしょうか?

最後に

何となく思いついたネタではありましたが、いかがでしたでしょうか?誰に向けた記事というわけではありませんが、誰かの心に引っかかってくれることを願って筆を置きたいと思います。

明日は @satoca さんが「自立して仕事を進められる状態になるために実行した2つのこと」と題して記事を執筆されます。引き続き Chatwork Advent Calendar 2023 をお楽しみください!