この記事は『Chatworkの新機能「リアクション」機能のデザインプロセスを大公開!』の後編です。
前回の記事は「新機能を作る」部分にスポットを当ててお届けしましたが、今回は「ユーザーに届ける」部分にスポットを当て、「世界絵文字デー記念キャンペーン」の舞台裏をお届けします。
インタビュワーは前回に引き続き、デザイナーの仁科がお送りします。
単なる話題性だけじゃない。プロモーション効果を最大化するのは「ストーリー設計」
今回お話を聞くのはこちらのお二人です。
山田さん(写真左)
広報ディレクター
メーカー、通信系事業会社の広報を経て、2015年より現職。
取材対応、プレスリリース執筆、ソーシャル&ブログ運営、インシデント&リスクマネジメントなど、Chatwork での広報業務を多岐にわたり担当。
北口さん(写真右)
プロダクトマネージャー(以下、PM)
Webディレクターを経験した後、うつ病の方の職場復帰を支援する会社から転職し、Chatwork の PM になって1年半ほど。機能追加のような大きなプロジェクトの担当は今回が初めて。
ーー さっそくですが、今回の「世界絵文字デー記念キャンペーン」プロモーションチーム発足の背景を教えてください!
北口さん:
はい。
前回の記事でもお話ししたのですが、今回新しく「リアクション」機能を追加するにあたり、何度かユーザーインタビューをおこないました。
その中で、「ビジネスチャットでの絵文字利用へのハードルを感じている方のリアルな声」に直面し、ただ機能を提供するだけではなく、使い方のイメージや、絵文字利用へのハードルを感じている「組織」に対してもアプローチしていく必要性を痛感しました。
そこで、「世界絵文字デー」をフックに「リアクション」機能のプロモーションキャンペーンができないかなと考えたのが発端です。
ーー なるほど。プロダクトのリリースと時事イベントを絡めたようなプロモーション施策は、今までもおこなっていたのですか?
北口さん:
いえ、まだそういった事例が社内になかったので、まずは広報の山田さんとマーケティングのメンバーを集めて、どんなアプローチができそうか相談しました。
山田さん:
最初に北口さん、マーケティングのメンバー、私でミーティングをしましたよね。
別のプロジェクトとして「絵文字の追加」が動いていたので、そちらの PM にも参加してもらいました。
SNS で話題にしてもらえそうな面白いアイデアがすぐに出てきたので、費用感などの調査をおこないました。ですが、想定予算の 5 倍くらいになりそうだということが分かり(笑)
今回のプロモーションの目的として「新機能の予告として機能する」ということに立ち返り、単なる話題性だけではなく、「SNS での拡散から、新機能への期待の感醸成」に主軸をおいたストーリー設計を練りました。
ーー そこで出てきたのが「絵文字暗号クイズ」だったんですね。
山田さん:
はい。
絵文字に関するクイズの海外事例を調べたりして、「どんなクイズだったらユーザーさんにとって挑戦しがいがあって、かつ、きちんと新機能のアプローチになるか」を考えていきました。
北口さん:
「ほどよい難易度にする」というのが難しかったですよね。
すぐ解けてしまってもつまらないし、誰も解けなくても意味がないですし(笑)
山田さん:
そうですね。
「だいたいこのくらいの人が解いて応募してくれそう」という応募想定数を出していたのですが、実際にはその想定の 7 倍の応募をいただいて、驚きました。
「正解が SNS で拡散されてしまうかも」という不安は少しあったのですが、そんなことはまったくなく、ユーザーの温かさを感じましたね。
ーー 私だったら、回答が分かったら嬉しくて答えをツイートしてしまいそうです(笑)
北口さん:
でも全然そんなことはなくて。
想定よりたくさんの応募をいただいてとても嬉しかったです。
「こんなに多くの方が気にかけてくれているんだ! がんばろう」というモチベーションにもなりました。
山田さん:
私もこんなに多くの方に応募いただけると思っていなかったので、とても嬉しかったです。
ビジネスチャットにおける絵文字に対する興味関心や期待を顕在化することができたのかもしれないですね。
またキャンペーンと並行して、「絵文字をビジネスチャットで活用するヒント」などのコンテンツなども出していきました。
描いていたストーリー設計が見事にうまく進み、通常の機能リリースよりもはるかに多くのユーザーに知っていただけるきっかけとなりました!
旬なタイミングで実現したメディア勉強会
ーー 世界絵文字デー前日に実施した「メディア勉強会」も、山田さんが企画したのですか?
山田さん:
はい。
記者さんをお呼びして「リアクション」機能の開発背景のご紹介と、「ビジネスシーンにおける絵文字」というテーマでトークセッションをおこないました。
絵文字やビジネスコミュニケーションにゆかりのある方に登壇いただきたいなと思い、トークセッションには、絵文字の開発者でもあり、現ドワンゴ専務取締役 COO 兼ニコニコ代表の栗田穣崇氏と、コミュニケーションの研究をしている株式会社 NEWYOUTH 代表取締役の若新雄純氏をお招きしました。
お2人とも企画当初に社内で最初にお名前が上がった方だったので、オファーを承諾いただいたときはとても嬉しかったです。
ーー「世界絵文字デー」というコンテキストの中で、著名人のコミュニケーションを分析しながらのディスカッションはとても興味深かったです。
北口さん:
そうですね。
絵文字の良さや、なぜ今ビジネスのコミュニケーションで絵文字が求められているかなど、ここでしか聞けない濃いお話ばかりでした。
お話が面白くて、動画の途中に私の笑い声がたくさん入っちゃったのも良い思い出です…(笑)
こちらから動画が見られるので、興味がある方はぜひご覧になってください!
ーー 山田さん、北口さん、ありがとうございました!
トークセッションの中で、「我慢して働いた結果の金銭的な報酬」よりも「コミュニケーションがしやすく働きやすい環境での充足感」に価値を感じる人が増えているというお話があり、それに「形式張らずにコミュニケーションができるチャットや絵文字が一役買っている」というお話がとても面白くて、私も普段無意識に使っている絵文字でのコミュニケーションを考えるきっかけになりました!
2 回にわたりお送りした、『「リアクション」機能のデザインプロセス』と『「世界絵文字デー記念キャンペーン」の舞台裏』、いかがだったでしょうか。
Chatwork メンバーのサービスづくりへの思いが少しでも伝わっていたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!