Chatwork Creator's Note

ビジネスチャット「Chatwork」のエンジニアとデザイナーのブログです。

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未来のChatworkについて(2020年版)

メリークリスマス♩id:cw-kasugaです。
この記事は、Chatwork Advent Calendar 2020 - Qiita の25日目の記事です。

Advent Calendarも最終日ですが、前回記事を書いたのが3年前だったことに驚愕してます。 今年からは対外的にもCTOという職責も任命頂いており、プロダクト周りの責任者として社外の人と積極的に交流したいと考えていたのですが・・・ コロナ禍という事もあり、自宅に引き篭もった一年でした(涙) その分、在宅環境が充実しました!在宅環境に関しては、弊社の制度絡めて別の機会に話してみたいと思います。

creators-note.chatwork.com

今回はChatwork社が前回の投稿からどんな施策をしてみたのか?今後どんな事にチャレンジしていこうとしているのか?それを実現する為にどんな組織になっていきたいか そんな理想に対して現状どんな課題があるのか?といった点について記事にしたいと思います。

tl;dr

  • Chatwork社自体も、この3年で上場やらCTO交代と色々と動きがありました。
  • 2021年は、プロダクト成長スピードを加速させる為に、プロダクトマネジメント組織機能も包括する組織になります。
  • 専門性を高めてこれからのChatworkの更なるスケールを支える次世代アーキテクチャを構築したいエンジニアも、雑食で色々と触りながら、少数精鋭でスピーディーに今の本番環境を改善していきたいエンジニアも絶賛募集中!

2017からの振り返り

前回から3年も経過してるので、システムも更に複雑化してきており、プロダクトに従事しているメンバーも35名→70名と倍増してます。 特に2020年はコロナ禍ではあったのですが、現在第3創業と位置付けており、積極的に人材採用を進めていました。 この1年間でも15名以上のメンバーがジョインしてもらってます。 その中でも、組織的な改善施策で効果があった点についてシェアしたいと思います。

リリース済み機能の継続的改善チームの結成

Chatworkでは新規追加機能に人的リソースの優先度が高くなってしまう組織的課題がありました。 しかし、一度リリースした機能への改善要望も多数寄せられていました。 そこで、既存機能への継続的な改修が出来るチーム(3名)を新規に創設する事によって リリースノートに記載できたリリース数が2019年は38件だったのが、63件と1.5倍以上のリリースを達成する事ができました。

2020年リリース数

セキュリティチームの結成

サービスの特性上、常にセキュリティイシューについては頭を悩ませています・・・ 今まで、組織横断でセキュリティについて施策を検討するチームがなかったのですが、2020年からセキュリティに関する業務だけを担当するチームを 小規模ながら発足する事ができました。将来的にはCSIRTチームを結成していきたいと考えてます。 社内だけでは、どうセキュリティを継続的に強化するのかという点が手探りな状態だったのですが、現在はマキナレコード様に監修頂きながら前に進める事ができてます。 セキュリティに関しては、絶賛人材募集中でして年明けには採用ポジションがオープンになる予定です。 現在はカジュアル面談も受け付けておりますので、もし興味ある方は以下のTwitterアカウントにダイレクトメールを送信していただければ対応いたします。 twitter.com

DevHRチームの結成

2019年まで採用に関しては年間5名〜7名くらいのペースで採用してきたので、各部署MGR+私が気合いでなんとか採用するという スタンスだったのですが、2020年から本格的に採用するメンバー数が増えるようになってきたので、全然マンパワーが足りない状況になってしまいました。 そこで、元々エンジニア人事関連に興味があったid:cw-takaseとChatwork初のEM職として入社してくれた@nottegraが中心となって、人事部門とは別に エンジニア人事チームを結成する事ができました。 彼らが実施してくれた施策は、ざっと上げるだけでも

  • 開発本部全体会の実施
  • 採用プロセスの最適化
  • エンジニア登壇イベントフォロー(ScalaMatsuri・PHP Conference等)

etc と盛り沢山かつ効果のあるものばかりでした。

新卒採用(サマーインターンの開始)

2019年は上場が控えてました。このタイミングで中途中心であったエンジニア組織に新しい風を吹かせたい(=新卒採用)。 と私の無茶な発案から始まったサマーインターンですが、インターン経由での内定者が4名も誕生しました! 2020年もオンラインながら2年連続で実施出来ています。内定メンバーがアルバイトでフォローに入ってくれたりしていて これからChatworkの組織文化として定着してくれるといいなあと考えてます。 学生メンバーを指導するメンバーが自発的に挙手してくれたりと嬉しい副作用も組織にもたらしてくれました。

Chatwork社の現状プロダクト課題

そんなこんなで、日々色々な施策をしておりますが 2020年12月末時点でも課題がてんこ盛りです(涙)

ちょうど年度末という事もあり、これからどんな事をしていくべきかを妄想する為に積読になっていた本をインプットしていました。 その中でも優先的に学ばなければと焦りつつ現在情報収集していますが、冒頭にも記載した様に新たに統括する事になったプロダクトマネジメント組織機能についてです。 エンジニア組織は専門人事チームの配置等の施策が功をそうして急拡大してますが、プロダクトマネジメント組織はまだ少数でした。 担当MGRが日々のプロダクト改善・マネジメントといった業務で手一杯になってしまい、中々採用業務まで手が回らない課題がありました。 そこで、プロダクトに関連する組織を集約する組織体にする意思決定をしました。 意思決定をしたからには、私もプロダクトマネジメントについて勉強しないといけません。 そこで、参考になった書籍に出会ったので、今回ご紹介します。

INSPIREDです。

特に印象に残っているのが CHAPTER67:強い製品開発文化を作るで言及されているプロダクト開発に必要な2つの側面は感銘を受けました。

  • 企業が継続的に持続的にイノベーションを起こし、顧客にとって価値のあるソリューションを考え出しているかどうかである。これが製品発見である。
  • 実行力である。いくらアイディアが素晴らしくても、製品化され、出荷できるバージョンを顧客に届けられなければ意味がない。

書いてある事は平易なんですが、いざ組織として実行し続けるのは並大抵の努力では出来ないと思います。 上記2つの側面(強いイノベーション・強い実行力)を組織全体として身に付けていく為に 私が考える優先度が高い課題についてツラツラと述べてみたいと思います

継続的なUXの磨き込みが出来ていない

現在、Chatworkが提供しているUIは5年以上前に刷新したUIがベースとなり継続的なUXの磨き込みが足りてません。 UIを大幅に変更すればユーザ体験が向上するものではないと考えてますが、定期的にUX体験は見直す必要があります。 ギャラットの5段階モデルにもあるように、表面的なUI変更を検討するのではなくて 現在のTechスタックなら、こういう表現できるといったエンジニア・デザイン・プロダクトマネジメント3つの視点で 最高のものを目指せる組織体になったので、この辺りを意識してプロダクトアップデート体制を磨き込みたいと考えてます。

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三位一体

スケールしていく組織に紐づいたアーキテクチャへの転換

Chatworkは2021年に10周年を迎える老舗のプロダクトとなります。 おかげさまで、1つのプロダクトに関連するメンバーが70名を超える所帯になってきたのですが 効率的に開発できているかというと、過去の技術的負債もあり何か追加開発するには重たい構造になってます。 このまま組織及びプロダクトを拡大しても

  • 事業要望スピードに答える機能開発が実現できない
  • エンジニア開発体験も損ねてしまう
  • プロダクトアーキテクチャの限界を迎えてしまう

といった3つの観点から全面刷新する判断を2018年末に決断してます。 現在リニューアルプロジェクトは細かくフェーズを刻みながら、本格的なリプレースする準備が徐々に整いつつあります。 リニューアルプロジェクトでは適切なチームサイズを意識した全面的なMicroservicesアーキテクチャへの移行を予定してます。

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想定Microservicesアーキテクチャ図

強い実行力を支える生産指標の追求

上述したINSPIREDでも大事な要素としてあげられていた 「強い実行力」を実現する為には、チームの生産性を測る指標の磨きこみが重要だと考えてます。 例えば、マネーボールで取り上げられたセイバーメトリクスの様な指標の導入が不可欠だと考えてます。 Chatworkでは、部門毎に生産性の指標を掲げていきたいと考えてます。

  • エンジニア:リリース数と技術的負債の可視化
  • デザイナー:UX変更意思決定数とNPS
  • プロダクトマネジメント:NPSと重要ビジネスKPI

将来的には、全部門でビジネスKPIがリンクしてる組織体への転換できる様にどう変化していくかも視野に入れたいと考えてます。

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生産性イメージ図

最後に

2020年も組織・個人として大きな変化があったのですが、事業としてはキャズムをようやく超えたタイミングです。 まだまだ経営として目指してる姿に全然追いついてないなーと日々運営していて反省ばかりです。 幸いにもChatworkには、どんどん魅力的なメンバーが集まりつつあますが、それでも全然人が足りてません(涙) ぜひ、我こそはという方がいらっしゃいましたら、全方位でメンバーを募集中ですので、エントリー募集してます!

余談

オンラインだからこそ、メンバー全体に話す機会とか増えてきたので話し方を研究する為に落語とか講談聴き始めました。 神田伯山先生の生の講演聞いてみたいです! youtubeのお披露目講演とか裏側が見れて、古典芸能ってこう受け継がれていくのか〜と良い学びでした。