こんにちは、iOSアプリ開発グループ 基盤開発チーム、”KNT(ケンティー)”こと中江です。
TestFlight のフィードバックは「静か」に届く
社内でアプリの検証をお願いする際、TestFlight は非常に便利です。しかし、そこには一つだけ致命的な欠点があります。
それは、「フィードバックが届いても気づきにくい」こと。
メール通知などで、チーム全体に知らせる標準機能がなく(2025年12月時点)、管理画面を能動的に見に行かない限り、せっかく送ってもらった報告に気づけません。
「見に行けばいい」と言われればそれまでですが、開発に集中していると、どうしてもログインして確認する作業は後回しになりがちです。その結果、貴重なフィードバックが数日放置されてしまうことも珍しくありませんでした。
「届いたこと」に気づける仕組み
「せっかく検証してくれているのに、反応が遅れるのは申し訳ない」
そう考え、App Store Connect API Webhook を利用して、「Chatwork」で即座に気づけるようにしました。
方法はシンプルです。間に Zapier や n8n などの自動化ツールを挟むだけです。
- App Store Connect で Webhook を設定
- Zapier や n8n などのツールで受け取り
- 「Chatwork」に通知
通知内容に詳細なスクリーンショットなどは含めません。
TestFlight フィードバックが届きました。 <App Store Connect の該当ページURL>
というメッセージだけを即座にチャットへ流す、ただそれだけの構成です。
問題の本質は、「気づけないこと」だったからです。
仕組みが生んだ、予想外の「つながり」
導入後、フィードバックの見落としがゼロになったのは言うまでもありません。しかし、それ以上に大きな変化がありました。
それは、社内テスターとの「対話」が生まれたことです。(社内テスター: iOSデバイスを持つ全社員が対象)
「検証バージョンが古いようなのでアップデートしていただけませんか?」といったやり取りが、通知をきっかけに自然発生するようになりました。
「今、検証してくれている」というリアルタイム感が、コミュニケーションのハードルを下げてくれたのです。
フィードバックの裏側にある「思い」
普段あまり接点のなかったメンバーから、ふとこう言われました。
「少しでもユーザーの役に立てれば」
ハッとしました。
私はこれまで、届いたものを単なる「バグ報告」や「タスク」として処理してしまっていました。しかし、その裏にはメンバーの「プロダクトを良くしたい」という熱い思いがあったのです。
通知機能がなく、報告を放置してしまっていた頃は、この思いにすら応えられていなかったのだと痛感しました。
「即座に反応する」ということは、単なる効率化ではなく、相手へのリスペクトを伝える手段でもあったのです。
最後に
TestFlight フィードバックの「沈黙」を破ってみてください。そこから新しいコミュニケーションが始まり、チームが少しだけ強くなるかもしれません。