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【iOS】チーム分​割から​半年。​各チームの​成長と工夫をふりかえる

こんにちは!iOSアプリ開発グループでエンジニアリングマネージャーをしている折田 (@orimomo_147cm)です🍑

「機能開発チーム」「基盤開発チーム」の2チームに分かれてから、早いもので半年近く経ちました。

手探りでのスタートでしたが、この半年はそれぞれのチームが「自分たちのミッション」に向き合い、専門性を深める濃い時間となりました。機能開発チームはユーザー価値の最大化に、基盤開発チームは開発効率の向上に、それぞれが注力できる環境が整いつつあります。

今回は kubell Advent Calendar 2025 の5日目ということで、各チームの成長や取り組み内容についてふりかえり、ご紹介しようと思います🎄

チーム体制のおさらい

iOSアプリ開発グループは2025年7月より、以下の2つのチームに分かれて開発をおこなっています。

  • 機能開発チーム(Ciel)
    • 機能開発を通じて、ユーザーに価値を提供することを目的とする
  • 基盤開発チーム(Blanc)
    • 基盤開発を通じて、機能開発しやすくすることを目的とする

iOSDC Japan 2025 にゴールドスポンサーとしてブース出展した際、いい感じの紹介ポップが出来上がったので、そちらを貼らせていただきます。

機能開発チーム(Ciel)

Cielチームは全社的な戦略に基づくロードマップ案件に参加しており、この半年で3つの施策をリリースしました(後続の機能開発も進行中)。

スクラム開発にも慣れ、各スクラムイベントでの進行役も、メンバーが持ち回りで自律的に実施するようになりました。

ベロシティも以下のように明確な上昇傾向で、チーム発足当時の約2倍の量をこなせるようになっています。この背景には、メンバー同士の連携がスムーズになったことや、開発プロセスが洗練されてきたことが、大きな要因として挙げられます。

特に、レビュー着手までのスピードをチーム全体で強く意識しており、現在では概ね6時間以内にレビューが開始されています。こうした地道な活動が、ベロシティの継続的な向上に大きく貢献していると分析しています。

取り組み紹介

AI活用の加速化

全社的なAI活用推進の流れを受け、Cielチームでも機能開発のプロセスにAIを組み込むための試行錯誤を続けています。

一例としては、AIにタスクの概要や背景をインプットし、チケット文章の叩き台を作成させることで、ドキュメント作成にかかる時間を削減する試みを実施しています。

さらに、品質向上と手戻り防止のため、「レビュー依頼をする前にセルフでAIレビューを実施すること」をチームのワーキングアグリーメントとして定めました。

まだベストな活用方法を探っている段階ですが、こうした新しい取り組みを通じて、開発のスピードと品質を両立すべく日々奮闘中です。

相談用Google Meetの増設

チームが分かれたことで、ミッションが明確になり、結果としてチーム内のコミュニケーションがさらに活発化しました。

以前はチーム内でのちょっとした相談用にGoogle MeetのURLを1つ用意していたのですが、仕様や実装の議論が同時多発的に発生し、ミーティングルームが渋滞するという「嬉しい悲鳴」が上がりました。

そこで、現在は相談用のGoogle Meet URLを3つに増設しています。

この3つのミーティングルームには、フランス語で「空」の意味を持つチーム名「Ciel」にちなんで、それぞれ「曙(あけぼの)」「青空(あおぞら)」「黄昏(たそがれ)」という名前をつけました。

「気軽に相談できる場を用意する」というシンプルな工夫が、円滑なコミュニケーションを維持し、開発の生産性を守る上で重要な役割を果たしています。

基盤開発チーム(Blanc)

Blancチームはこの半年間、iOS26対応・Xcode26対応、その他最新Apple環境への対応に注力しました。

これらの対応は当初の想定以上に複雑なものでしたが、一つ一つ乗り越える中で、チームの団結力が高まっていったように思います。

カンバン方式で開発をしており、JIRAとMiroによる「見える化」を常に意識しながら開発を進めています。 その甲斐あってスループットは安定しており、緩やかな上昇傾向です。

取り組み紹介

WIP制限の戦略的引き下げ

Blancチームは発足当初からフロー効率重視のチームでしたが、作業の性質から、一時的に「1人が1つチケットを持つ」リソース効率重視のスタイルになりかけた時期がありました。

この状態について、チームのふりかえりでは、「イレギュラー対応時にすぐに対応できるメンバーがおらず、作業を計画する難易度も高くなる」という課題がメンバーから上がっていました。

この課題を解決するため、リソース効率重視からフロー効率重視への転換を促す施策として、WIP制限をメンバー数の5から4に引き下げました。

この変更により、チーム内に意図的にバッファ(余力)が生まれ、「何か手伝うことはありますか?」という声かけが頻繁におこなわれるようになりました。結果として、チーム内に協力的な雰囲気が醸成され、サイクルタイムやスループットの向上にも繋がった、非常に効果的なアクションだったと思います。

現象に名前をつける

開発スピードを追求する中で、同じ話が何度も続いたり、勘違いをしたまま会話が長引くことで、時間のロスが発生する時期がありました。繰り返し起こる認識齟齬は、チーム内の空気を重くする大きな課題となっていました。

そこで私から、「特定のパターンを持つこの現象に名前をつけて、客観的に捉えてみませんか?」とチームに提案しました。名前をつけることで、メンバー全員が瞬時に課題を共有し、感情的にならずに分析できるようになるためです。

メンバー全員で話し合った結果、お笑いコンビ・アンジャッシュさんのすれ違いネタにちなんで、この現象に「アンジャッシュ」と命名しました。

このユニークな仕組みが定着した結果、「アンジャッシュしてるね!」という声かけで、すぐにMiroを開いて議論を整理・可視化する文化が生まれました。問題発生を建設的に解消しようというムードが生まれたのは大きな収穫です。

この命名の文化は、今後チームに別の問題が発生しても、ユーモアで前向きに乗り越えていくための強力な武器になると期待しています。

さいごに

チーム発足当初は、チームごとにやり方を定めたり、スクラムの説明会をしたり、次々起こる問題の解決に向けて動いたりと、私自身が調整役として多忙な日々を送っていました。

しかし今では、どちらのチームも型化された開発プロセスや、独自の文化を持ち、安定して運営されています。おかげで、私が常に付きっきりになる必要はなくなってきました。

両チームとも混乱期を越え、統一期・機能期へと着実に移行しており、これはこの半年間、メンバー一人ひとりがひたむきに取り組み、成長してきた確かな結果だと感じています。

ここから先はより多くの意思決定をチームに委譲し、少し離れた位置でチームを見守りながら、みんなに負けないよう、私自身も成長していかないといけないなと感じています。(これを書きながら急激に師走を感じています!)

iOSアプリ開発グループを、来年も引き続きよろしくお願いいたします。

kubellではエンジニアを絶賛募集中です。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お話させてください。

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次回はCielチームを牽引してくれている中山(@ryu_develop)が何か書くようです。お楽しみに!