こんにちは。デザイン部の @cw-marikoです。夏なのでかき氷部(弊社にはそんな部活動もあります)の活動回数を増やしたい今日このごろです。
8月6日に、株式会社メルカリさんが主催されたMaterial Designに特化したワークショップ、Design Sprint and Rapid Prototyping with メルカリに参加させていただきました! デザインスプリントや、ラピッドプロトタイピングについて学べるよい機会でしたので、どんな学びがあるかワクワクしながら参加してきました。
目次
- 発表内容
- 最後に
- お知らせ
発表内容
プレゼン「Introduction of mercari Innovation」
スピーカー:木下 慶さん(メルカリ Innovationチーム マネージャー)
ざっくりまとめ
- CPO直下で、メルカリの体験を向上する新サービスや、全く別の新しいプロダクトを企画・検証するチームがInnovationチーム
- メルカリのリリース後5年経ち、ちょっと離れたところでアドオンのチームとして成長したいという思いで発足
- 積極的にプロトタイプを作り、実際に試してもらう
- 検証の結果大きくなりそうなアイデアは、チームを組成し、本格的に開発することを目指している
感想
- 実は弊社も最近の組織体制変更で、デザインイノベーション室という部署が新設されたので、すごく奇遇だと感じました
- 普段の業務と切り離した部署で、集中して企画・検証を行える余裕があるのはさすがメルカリさんだなと思いました
プレゼン「What do prototypes prototype with design sprint ?」
スピーカー:Jasper Wuさん(メルカリ Innovationチーム)
前置き
- Jasperさんはスタンフォード大学で学び、サンノゼなどでデザインの経験を積まれたUXのプロフェッショナル
- イングリッシュスピーカーの方なので、ありがたいことに同時通訳もついていました
- シリコンバレー式 最高のイノベーションという本に影響された
- メルカリInnovationチームのメンバーは、男女、国籍が偏らないように意識的に編成している
- チーム1、2があり、それぞれプロダクトデザイナー2名、デザインエンジニア2名の構成
メルカリでのデザインスプリントについて
- Build Right Thing(正しいものを作る)と Build Thing Right(正しく作る)は違う
- Human Centered Design(人間中心のデザイン)を大事にしている
- 何かを始める前に、デザインスプリントから始めるようにしている
- Sprint: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in Just Five Days(Jake Knapp 著)
- Googleベンチャーのパートナーが書いた本で、どうやったらデザインスプリントが成功するかが示されている
- 5日間でデザインスプリントを回す手法
- メルカリでのバリデーションサイクルは、以下の通り
- (re)Define the problem(問題を再定義する)
- Ideate
- Prototype(InVisionやSketchを使う)
- Test
- デザインスプリントをする前にやらないといけないこと
- Conduct ユーザーリサーチ、マーケットリサーチを行うこと
- Pick a Right Challenge
- Diversity
- 多様なバックグラウンドを持つ人を5〜8人程度集めるとよい
- ただし、何人でやるかよりも、多様なバックグラウンドを持つ人が集う方が重要
- オーナーまたは意思決定者、UXリサーチャー、サポート、人事など多様な人を選ぶようにする
- Jake Knapp流のデザインスプリントは5日間で行われるが、Jasperさん流は10日間で行う
- 1週間目は経験のプロトタイプ
- 2週間目はファンクショナル(機能)
デザインスプリントを行うにあたって重要なこと
- チームメンバーのカレンダーをブロックすること
- マネージャーなどはなにかと会議で忙しいけれど、ブロックすることが大事
- テストに協力してくれる人をリクルートしておくこと
- 1日目のおわりと5日目にテスターの人に戻って来てもらい、改善結果を見てもらう
- 議論には参加しないファシリテーターを見つけること
- 話の上手い人がずっと話すのを防ぎ、話し合いを正しい方向に導く人が必要
- 時間のコントロール
- ダラダラ長時間続けたものより、時間を区切って考えたアイディアにはよいものが多い
- メルカリでのデザインスプリントの様子
- 人事、カスタマーサポートの人なども呼んでやっている
- 参加者は東京オフィス全社員のいるSlackチャンネルで、立候補制で募集している
- サイクルを次に繋げることで、デザインスプリントは完成する
ラピッドプロトタイピングについて
- Prototypeとは…
- マインドセット
- デモではない!
- Prototypeとは問いを掲げることである
- どのようにユーザーの課題を解決するかがラピッドプロトタイピングである
- 3つの視点を大切にしてほしい
- Feel : How it experiences?
- Function : How it works?
- Role : How it fulfill the needs?
実例
- Airbnb
- craigslist上で80ドルで一晩ベッドを貸します、という募集を出すだけでプロトタイプができた
- PillPack(オンライン上の薬局)
- ショッピングモール内にリアルなブースを出し、オンラインで使える登録をしてくれるかプロトタイプを試した
- プロトタイプはInVision、Sketch、Keynote、または紙とペンなどで手軽にできる
次の段階
- テストをする
- 自分の作ったものがユーザーに気に入られなかったらどうしよう、と思うからみんな気後れするのではないか
- テストを経て課題を見つけられるから、Jasperさんはテストが好き
- Show don’t tell(語らず見せる)
- Listen their experience (経験に耳を傾けること)
- Observe user behavior (使っている人の行動を観察すること)
- Digging deeper (彼らの持っている経験、考えなどを深掘りする)
実践(ワークショップ)
- Crazy 4
- 4分で4アイディアを紙に書き出す
- 本来はCrazy8と呼ばれる、8分で8つのアイディアを出す取り組み
- 言葉ではなく絵で描くとよりよい
- テーマは「名刺交換の経験をどうやったら効率化できるか」
- 文字だけでなく、イラストで表現できるとよりよいらしい
- ですが短時間でアイディアを出すので私は精一杯でした…
-
- もっと具体的な案が出ればよかった
質疑応答タイム
Q. なぜデザインスプリントをGoogleのように5日間で行わないのか?
- 問題を解決するには10日間はかかるので、メルカリでは10日間で行うようにしている
Q. 何か特別にコミュニケーションのツールを使っているのか?
- コミュニケーションに関するツールを使っているわけではなく、メルカリにある3つのバリューを大切にし、普段のコミュニケーションでいかに相手を理解するかをリアルで大事にしている
Q. デザインスプリントを学ぶためにおすすめの本はあるか?
- 講義で紹介したJake Knappの本の次に学ぶのなら、Mediumなどで他のファシリテーターの体験談を読んだり、どうカスタマイズしてるかを調べるとよい
- 他人の経験談からインスパイアされることがあるため
- また、デザインスプリントはいつも同じメンバーで行わないように工夫している
Q. インタビューを行うにあたり、どのようにして様々な職種のメンバーを集めたのか?
- Slackの東京スタッフ全員が入っているチャンネルで募集したら挙手してもらえた
- 午前中はコアタイムではないので、本業に支障がない時間に実施できたのも大きな要因かと思う
まとめの一言
- If your're using your engineers to code, you're only getting about half their value. by Marty Cagan
- もし、あなたがエンジニアにプログラミングだけしかさせていないながら、彼らの価値の半分しか発揮させていない(それはデザイナーも同じ)
- だからInnovationチームでは、デザイナーもエンジニアも課題理解から全てのフェーズに携わっている
- いろんな人のアイデアをテーブルの上に広げるのが大事である
感想
- 他社での具体的なデザインスプリントの実践例を伺うことができて、非常に参考になりました
- デザインスプリントは、ぜひChatWorkでも実践してみたいと思いました
- 実際に声をかけて多くの人が協力的に集まってくれるのは、自社サービスを改善したいという気持ちがあり、なおかつ自分ごとと捉えていないとなかなか実現しないことだと思います
- きっとよい社内の雰囲気があるのだろうと感じました
懇親会
- 素敵なケータリングとお酒が振る舞われる交流会がありました
- デザイナー以外にも、ディレクターなど様々な職種の方が参加されていました
最後に
デザインスプリントのエキスパートのJasperさんの話は、どこをとってもとても刺激的なものでした。
プロトタイプは作り込む必要はなく、手軽にできるものなので、積極的に作っていくことが大事だと感じました。私も業務のすきま時間などで、気軽に提案していきたいと思います。
反対に、デザインスプリントは自分ひとりでできるものではありませんが、今後全社員を巻き込んで大きなスプリントが回せていけたらよりよいプロダクトを提供できる実践となるのではと感じました。
今後のChatWorkデザインイノベーション室でもデザインスプリントは行われていくのでしょうか?これからの動きからも目が離せません。(マネージャー、期待しています!)
お知らせ
また、現在ChatWorkのデザイン部ではデザイナーを募集中です!
私たちとやりがいのある環境でプロダクトのデザインをよりよくするために、一緒に働いてみませんか?
corp.chatwork.com