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ビジネスチャット「Chatwork」のエンジニアのブログです。

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スプリントにおけるディスカバリー・デリバリーの可視化

こんにちは。認証グループのいまひろです。

今回は、Jiraのダッシュボードを利用した、スプリントにおけるディスカバリー・デリバリー・運用の各プロセスをどのように可視化したかについてお話しさせていただきます。

Jiraのダッシュボードで可視化することにより、チームの活動をより効果的に把握することができ、改善のための具体的な指針を得ることができるようになりました。

前提として

認証グループでは、スクラムを用いたアジャイル開発手法を採用しています。現状、チームの状況が変わり、スプリント内でデリバリーフェーズだけでなく、ディスカバリーフェーズや運用フェーズのアクティビティも同時に行うようになっています。

こちらに至った経緯については、チームメンバーの書いた下記記事に詳しく載っていますので、興味のある方はご一読ください。

creators-note.chatwork.com

各アクティビティはJiraのチケット種別で分類されていて、ストーリーチケットについてはストーリーポイントが、それ以外については、実績値を入力し、作業全体を数値化しています。

課題

以前は、認証グループでは開発生産性を測るために、Four Keysやd/d/dといった指標の方を重視していました。

これらの指標は、デリバリーフェーズにおけるパフォーマンスを評価するのに有効でしたが、ディスカバリーフェーズが増えると、これらの数値が自然と下降してしまうという課題があり、数値の悪化がチームの機能不全によるものなのか、単にディスカバリーフェーズの作業が増えたためなのかを判断するのが難しくなっていました。

また、チーム内からは、デリバリーという狭い範囲での改善を図るよりも、ディスカバリー・デリバリー・運用全体でのボトルネックを見つけ出し改善を図る方が、より価値が高いのではないかという意見も出てきました。

そこで、一旦Four Keysやd/d/dの指標をチームの関心事から外し、各スプリント単位でディスカバリー・デリバリー・運用全体の状況を把握し、改善に役立てる方向に舵を切ることになりました。

Jiraのダッシュボードによる可視化

各スプリントにおけるディスカバリー・デリバリー・運用全体の状況を計測するために、これまではセミオートで集計を行うスプレッドシートを利用していました。ただ、集計に至るまでの手作業の部分がかなり手間のかかる作業で、この方法をチーム内で運用していくには負荷がかかり過ぎるという問題がありました。

そこで、Jiraのダッシュボードを活用して、これらのプロセスを自動化することにしました。

スプリント全体の状況を計測しダッシュボードで表示するために、Numeric Custom Field ChartというJira拡張を導入し、可視化を行うことにしました。Atlassianの標準の拡張アプリでは、任意の数値フィールドに対してのメトリクス表示が難しかったため、今回はお手製のJira拡張アプリを使うことにしました。

各メトリクスに対して個別に細かな設定を行うことができ、それを活用することで、スプリント全体や各フェーズごとに、課題タイプに対するポイントや件数をグラフで表示し、ぞれぞれの累積フローを表示することができるようになりました。

設定画面

スプリントメトリクス

可視化でわかったこと

まず、各スプリントでどのフェーズに力を入れていたかがわかるようになったため、ある一定の期間においてディスカバリーとデリバリーの比率は健全だったのか、運用が開発を圧迫していないか等、スプリント単体だけでなく全体像を把握することができるようになりました。

また、上記を組み合わせることにより、Four Keysやd/d/dの計測にもより価値が出てくるように思いました。

ディスカバリーや運用については、もう少しチケット種別を分けた方が改善ポイントが見つけやすいのではという意見も出ました。特に運用については、チケット種別を細分化することにより、そのチケットの種類が改善可能な類のものだったのか、顧客問い合わせが頻発したことによる特別なスプリントだったのか等、後から振り返り改善に繋げることができそうです。

累積フローについても、順調に各フェーズが消化できているか、各フェーズの在庫が少なくなっていないか等を視覚的に確認することができるようになりました。

まとめ

今回の記事では、Jiraのダッシュボードを活用して、スプリントにおけるディスカバリー・デリバリー・運用のプロセスを可視化する取り組みについて紹介しました。

各スプリントの状況を自動的に可視化することで、チームの負担なしに、活動をより効果的に見える化することができるようになりました。

今後はチケット種別のさらなる細分化を通じて、改善ポイントをより具体的に特定し、チームのパフォーマンス向上に繋げていければと思います。