こんにちは!iOSアプリ開発グループでエンジニアリングマネージャー&チームコーチをしている折田 (@orimomo_147cm)です🍑
産休育休を経て3ヶ月ほど前に仕事復帰し、新米ワーママとして、育児と仕事の両立に奮闘する日々を送っています。
私たちのグループでは、2025年7月に体制変更をおこない、現在は「機能開発チーム」「基盤開発チーム」の2チームに分かれて動いています。
本記事では、その背景や目的、実際分かれてみての感想などについてご紹介ができればと思っています。チームの新しい体制を模索している方々にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
これまでのチーム構成と課題
体制変更前のチームは、業務委託メンバーも含めると12名の大所帯でした。iOSに関する情報が一箇所に集約され、幅広い業務に対応できるという強みがあった一方で、3つの大きな課題を抱えていました。
管理の複雑化: 機能開発や日々の運用保守、1年以上かかる基盤改善まで、性質の異なるタスクがチーム内に混在し、1つのカンバンでの管理が困難を極めていました。タスクの進捗は追いづらくなり、チームとして最適なコミュニケーション方法も見失われつつありました。
認知負荷の増大: 人数が多いことで意思決定や情報共有に時間がかかり、自分に直接関係のない議論にも時間を割くことになり、モチベーションが低下していました。全員の進捗を把握するのも一苦労で、個々の認知負荷は限界に達していました。
チームとしての一体感の希薄化: これらの結果、隣のメンバーが何に困っているのかも見えにくくなり、「助けたくても助けられない」状況が発生していました。チームで働く意義や楽しさが薄れ、チームというより「個人(タスク単位のグループ)の集まり」と化していました。

上記の課題を解決すべく、当然チームでも色々な工夫を凝らしていたのですが、なかなか効果を感じられず、全員がもどかしさを感じていたと思います。
私としても、これまでみんなが積み上げてきたものを尊重し、大きな変更を加えずに済むならそうしたいと、様々な角度から検討を重ねました。
それでも、復帰して1ヶ月間チームを観察する中で、この状況を変えるには構造に手を入れるしかないと判断。チーム分割を提案するに至りました。
大きな変化に対して、不安や戸惑いを感じるのは当たり前だと思います。提案の際は、メンバーの気持ちになるべく寄り添いつつ、それでも前を向いてみんなで進んでいけるよう、丁寧に説明することを心がけました。
ありがたいことにメンバーからの反応は概ねポジティブなもので、「待ってました」「わくわくする!」といった声もありました。普段からチームのことを考え、「この状況をなんとかしたい」と思うメンバーが多かったからこそ、体制変更への第一歩をスムーズに踏み出せたのだと思っています。
新しいチーム体制
冒頭で触れた通り「機能開発チーム」「基盤開発チーム」の2チームに分割しました。 そこで目指したのは以下3点です。
集中できる環境の整備: チームの独立性を高めて(= 適切なサイロ化)一人ひとりの認知負荷を下げ、各チームがそれぞれのミッションに専念できる状態にすること。
コミュニケーションの活性化: 少人数にすることで、質の高い対話とコラボレーションが生まれやすい環境を整えること。
チームとしての一体感の再醸成: 活発な協力体制のもと、「みんなで開発する楽しさ」と成果を再び実感できるチームにすること。
体制変更にあたり、まずは全員で東京オフィスに集まり、半日かけてチームビルディング合宿を実施しました。その中で作成した「チームを表すポスター」が各チームの個性をよく表していたので、以下ではそのポスターとともに、それぞれのチームについて説明ができればと思います。
機能開発チーム(Ciel)
機能開発を通じて、ユーザーに価値を提供することを目的とした5名のチームです。
スクラムで開発をおこなっており、素早い意思決定とプロトタイプ実装を得意としています。
ちなみにiOSアプリ開発グループには、以前フランス人のメンバーがいたときの名残で、フランス語のチーム名をつけるという面白い風習があります。この機能開発チームは「Ciel(呼び方: シエル)」というチーム名で、フランス語で「空」の意味です。空のように自由に広がり、たくさんの価値をユーザーに届けたいという願いを込めて名付けました。

基盤開発チーム(Blanc)
基盤開発を通じて、機能開発しやすくすることを目的とした6名のチームです。
担当する業務はリリース作業、新OS対応、EOL対応、SwiftUI化、SVVS化、各種自動化、品質改善など多岐に渡ります。
カンバンを使って開発しており、じっくりと話し合いをおこないながら、自分たちでやるべきことを選定して進んでいくことを得意としています。
基盤開発チームは「Blanc(呼び方: ブラン)」というチーム名で、フランス語で「白」の意味です。「Chatwork」のロゴの色から発想を得て名付けました。

両チームの関係
基盤開発チーム(Blanc)がiOSアプリ開発における下回りを支え、基盤を整えることで、 機能開発チーム(Ciel)が機能開発に集中でき、その結果としてユーザーに素早く価値を提供できる、という関係を理想としています。
図式化すると以下のような形になります。

実際にチームを分けてみて
新チーム体制に移行してから1ヶ月が経過しました。チームメンバーへのアンケート結果をもとに、目指す姿にどれくらい近づけているかについて考えてみようと思います。
「集中できる環境の整備」について: ほぼ全員が「以前よりも認知負荷が下がり、担当領域に集中できている」と回答してくれました。チームを観察していても、それぞれのチームミッションに沿った形で深く業務ができている様子があり、無駄なコミュニケーションコストが減った印象があります。
「コミュニケーションの活性化」について: 半数以上のメンバーが「コミュニケーションが活性化した」と回答してくれました。私としても、朝会での会話の質が高まったり、モブプロやMeetでの議論が増えたのを観測しています。 一方で、チーム内での遠慮や、認識のずれが多くあることを懸念するメンバーもいました。今はタックマンモデルでいうところの「形成期」「混乱期」にあたる時期なので、この部分については一定仕方がないと考えています。丁寧な対話やふりかえりを続けることで、少しずつ解消に向かうよう支援を続けていくつもりです。
「チームとしての一体感の再醸成」について: ほぼ全員が「以前よりも一体感を感じられている」と回答しており、3つの観点の中でもっとも高い評価でした。チームの役割が明確になったことで会話やコラボレーションがしやすくなり、旧チームと比較して、「個人(タスク単位のグループ)の集まり」感がなくなっています。どちらのチームもフロー効率を意識しながら開発ができており、なるべく全員で1つのタスクを倒そうとしている点も、一体感を取り戻せた要因かと思います。
上記の通り、体制変更の効果は狙い通り出ているといって問題なさそうです。
もちろん良い点ばかりではなく、「チーム間連携」などにはまだまだ課題が残っています。直近だと、チームを分けたことで、お互いのチームが何をやっているのか見えづらくなったという声がありました。これに対して、両チームが参加する会議の内容を見直したり、チームリーダー同士で情報共有する場を設けたりしながら、現在は徐々に解消に向かっています。
今後も様々な課題が出てくることが想定されますが、改善サイクルを回すことの重要性を全員が理解しているiOSアプリ開発グループであれば、その都度解決していけると信じています。
さいごに
今回の体制変更は、私にとって復職後初の大仕事となりました。チーム発足直後の一番バタバタする時期を越え、両チームにリズムが生まれつつあるのを見て、ひとまず今はホッとしています。
先に書いたように、タックマンモデルの「形成期」「混乱期」はしばらく続くと思います。 そこを乗り越え、チームとして成果にコミットしていけるよう、引き続き支援していく所存です。
kubellではエンジニアを絶賛募集中なので、ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お話させていただけると幸いです。