こんにちは。プロダクト開発部の火村(id:eiel)です。
プロダクト開発部では、定期的に定例ミーティングが行われていて、技術的な内容のライトニングトークする時間があります。 発表者はプロダクト開発部のメンバーがローテーションしていて、一度のミーティングで発表するのは一人といった感じです。
先日、私の当番がやってきてしまいました。 いろいろ話したいことはあるのですが、時間がなかったため、今回は入院中にどうやって勉強していたという軽い話をしました。 内容が特に公開して問題のあるものではないので、ブログに書いてみることにしたのが今回の記事です。
スライド
入院中の勉強の仕方
個人的なことになりますが、2017年3月からおよそ4ヶ月入院していました。 たとえ入院していても、エンジニアであれば、情報収集や勉強するのを怠るわけにはいきません。 (ただ単にほかにすることがないという説もありますが…)
ということで、どんなことをしていたか、どんなことがあったかをお話します。
入院中の端末の利用可否
インターネットから情報収集したい場合は、なんらかの端末が必要です。 病院に持ち込めるものには制限があり、基本的には以下の通りです。
インターネットの利用は携帯電話の電波に頼るしかありませんでした。
CCU、ICUやSCUといった特殊な病室にもいましたが、ここでは機内モードにする必要がありました。 このあたりは、病院によっても違うと思います。
トータルで3週間弱ほど、これらの病室にいて、インターネットから隔離された生活もしていました。 インターネットが可能な状態でも、控えめに使っても一週間程度で7GBを使い果たしてしまう感じでした。
長期入院時に重要なこと
結果、以下の2点は特に重要でした。
iPadでも読むことはできるのですが、起き上がるのが大変だったので、軽いものが扱いやすかったです。 そして、することがなく、すぐに通信制限になる日々でした。
具体的な勉強方法や情報収集
ラップトップの利用ができないため、基本的に「読む」ぐらいしかできません。 以下の4点について書きます。
書籍
コスパ最高。物理で殴れるのは強い。*
やはり本を読むのは、とてもコストパフォーマンスが高い勉強方法です。 コンピュータに実際に打ち込んで確認できないのは少し残念でした。
紙の書籍であれば、電波もでないので安心して読めます。 もちろんKindleも大活躍でした。
情報が新鮮。時間があるからこそ読める
英語の情報で流通量も多いですが、時間があるため、さまざまなタグを購読することができました。 Twitterで目にする前に情報を得ることもできますし、Twitterでつながりがない方面の情報を集めるのに役立ちました。 いろんな海外のニュースもみていましたが、非常に読みやすかったです。
Redditは通信制限に陥ってもアプリでなんとか閲覧することができました。 Webサービスのアプリを提供することで、通信量の削減ができることを体験する出来事でもありました。 Redditではありませんが、アプリによってはHTMLを取得してきて表示するようなものもあり、表示できなくなることもありました。
GitHub Trending
Redditとあわせて見ると、面白い。時間に余裕があるので、ソースコードもあわせて読める
普段は見ていない特定のプログラミング言語に絞ったものも見ていました。 Redditで盛り上がっているものは、上位に現れやすく面白かったです。
時間に余裕があったため、ソースコードをちら見する余裕もありました。 スターなど少ないものはコード量も少ないことが多く、あまり経験の少ない言語ではよみやすく、勉強になりました。 さすがに、通信制限状態になるとソースコードまでみるのは難しかったです。
GitBookで生成されたページ
スマホでよみやすい。既読管理もされて素敵
iPhoneでも読みやすいドキュメントとして大変重宝しました。 入院してる身としては、小さい画面でよみやすいのはとても重要なことでした。
ちょっと微妙だったもの
いうまでもないですが、動画はあっという間に通信制限になってしまいます。 英語のリスニングの練習をかねて、ダウンロード済みにできる技術な動画を探したかったですが、あまりいいものをみつけることができませんでした。
Q&AサイトであるStackOverflowとスタック・オーバーフローの両方もみていました。 何度か質問に回答してみたりしましたが、スマホアプリをつかっても回答するのには適さない感じでした。 回答するのにいろいろ調べるので勉強にはなりますが、通信量も使うし、大変でした。
蛇足ですが、スタック・オーバーフローで回答しても、解決状態にしてもらえないことが多くて悲しかったです。
長い入院の経験と「インクルーシブデザイン」
インクルーシブデザインという用語を聞く事が最近多く、インクルーシブデザインがなんであるのか概要を見たときに、ちょっと気になることがありました。
インクルーシブデザインとは、高齢者、障がい者、外国人など、従来、デザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込むデザイン手法です。 (中略) インクルーシブデザインのワークショップに参加する高齢者、障がい者、外国人などをリードユーザといいます。
インクルーシブデザインとは | インクルーシブデザイン・ソリューションズ | Inclusive Design Solutions
入院中というユーザはデザインプロセスから除外されてきた人々ではないでしょうか。 開発者自身が不自由な状況を長く経験することで、インクルーシブデザインのリードユーザの視点をもって開発ができるのではないでしょうか。
入院することで、寝たきりの時間があったり、自由に場所を移動することができなかったりします。 そういった状況でも、読みやすく使いやすいスマートフォンアプリケーションはどんなものだろうか。 そんなこと思いました。
Webサイトを直接見ようとするとまったく表示できないが、アプリだとなんとか利用できることもありました。 サービスによっては、アプリでも未読情報が溜まってしまって最初の通信量が増えて、開けなくなってしまうこともありました。 (ちなみに、開けないことが何日も続いて、通信制限が解除されても表示できなくなってしまいました)
長期入院しているユーザの問題を解決すると、一時的に通信速度が低下しているときの問題も一緒に解決されます。 サービスの品質も向上します。 これもひとつのインクルーシブデザインなのでしょうか?
まとめ
入院中に勉強の仕方について思い返しました。
書籍はたいへんよいものだと再実感しました。 スマートフォンにサイトを最適化するのはとても重要だと感じました。 アプリ化の目的のひとつは通信量の削減だと感じました。
ところで、入院中の不自由な状況に開発者自身がなることは大きな視野で観るとインクルーシブデザインなのかもしれないと感じました。 ただ、今回の例は誰でも身近な通信速度という問題しか表面化しませんでした。
低速な環境を考慮してサービスを最適化することは、高速環境のユーザにもよりよい体験を与えることができます。 長い通信制限のある生活は、単純にエミュレーションするだけでは得られない体験です。 ただの通信制限だとおもうかもしれませんが、そんなことはありません。 もし興味があれば、わざと通信制限のある状況で数日過ごしてみるのも面白いかもしれません。 これは個人でインクルーシブデザインの始め方のひとつかもしれません。
私もインクルーシブデザインに関しては、無知なので少し勉強してみようと思いました。