こんにちは、フロントエンド開発部の @shibe23 です。 4月は新しいメンバーを迎える季節、弊社のフロントエンド開発部も新しいメンバーを迎えたこともあり、チームビルディングとしてミッションステートメントを作成しました。
早速ですがご紹介したいと思います。 (有志が画像にしてくれました)
Chatwork WebFrontend チームは
すべての人が、今よりも働きやすくなる仕組みをWeb技術を通して提供するチームである。
それを実現するために、チームとして「ユーザー、組織のために技術を研鑽すること」「ユーザーや自分たちの問題を、一足跳びではなく確実に改善し続けること」「お互いを尊重し助け合うこと」を大事にしている。
今年度は「技術負債に捕らわれずチャレンジできる」「人の異動に左右されず、安定してプロダクトを運用できる」状態を目指す。
この記事では、ミッションステートメントを作成するに至った理由と、どのような流れで決定し何を大事にしたかについてお話ししたいと思います。
チームが自律して課題解決するために
Chatworkではスクラムを積極的に導入しており、フロントエンド開発部でも実施しています。 スクラム導入の目標として「チームの自己組織化」を目指していますが、これは「開発のライフサイクルに関する意思決定をチームに委譲し、スクラムチームが自律して課題を解決できる状態を目指す」と定義しています。
これまでマネージャーとして自己組織化に取り組んできた中で、運用フローの共通化やモブプロによる属人性の解消など、日常的な運用に関しては自律して動くことができるようになってきました。 次のステップとして、目の前にある自明な課題だけではなく「課題の発見と解決策の立案」を自律して行えるようにしていきたいと考えています。
意思決定を自己組織化するのは難しいものです。マネージャー一人であれば、自分の経験に照らし合わせてトップダウンで意思決定を行うことはできるでしょう。 しかし、権限のあるロールを置かず、チームでフラットに合意形成をするとなると、それぞれのメンバーの価値観や見ているものが揃っていないことで、議論が発散してしまい合意に至らないケースが多々出てきます。
そんな中で、自分たちが何を軸にして意思決定をするのか、どういう状態になるために日々課題を解決しなくてはならないのか、という認識を揃えることの重要性を感じました。
新規メンバーが参入してくれたタイミングでもあり、チームビルティングとして打って付けだと感じ、今回実施することにしました。
存在意義・価値観・方向性をまとめる
先程の課題を踏まえ、どんな事柄について認識を揃えれば良いかをディスカッションした結果、以下の3つに決まりました。
- 我々は何のためにここにいるのか (存在意義)
- チームとして何を大事にするのか (価値観)
- 今年度どのような状態を目指すのか (目指す方向性)
「存在意義」は自分たちが何をするチームか、言いかえれば「社会・ユーザー・組織に対して何を提供するチームか」を表します。 「価値観」はチームで一緒に働く上で、どのように協調して課題を乗り越えていくかを表します。 「目指す方向性」は上記を踏まえた上で、少し先を見据えた時にどのようなゴールを目指すかを表します。
最終成果物として上記の形式になるように、穴埋めをしました。
我々のチームは
「◯◯」チームである。
それを実現するために、チームとして
- 「」
- 「」
- 「」
を大事にしている。
今年度は
- 「」
という状態を目指す。
ステートメント以上に大事な「何を議論したか」
実際のミッションステートメントをご覧になって「当たり前のことを書いているのでは?」と思われた方もいるかもしれません。 ですが、この言葉を選ぶに至った経緯を含めて、メンバーにとっては自分たちの方向性を振り返る良い機会になったと思っています。
例えば、
- 「今よりも働きやすくなる仕組みを」は「価値」「方法」「ソリューション」のような表現ではありません。これは自分たちがチャットというツールをタッチポイントとし、それを取り巻く技術やUXなど体系化された”仕組み"によってユーザーに一歩先の働き方を提供していくということを表しており、価値そのものではなく、よりシステムや構造にフォーカスしています。
- 「Web技術を通して」は、私たちはWebの技術者であるということをあえて明示しました。
- 「ユーザー、組織のために技術を研鑽する」は"技術力を高くすること"を目的とせず、課題解決のために適切な技術選択ができるチームであることを大事にしています。
- 「一足跳びではなく確実に改善し続ける」は大規模なシステムとして多くの課題を抱えるChatworkとして、銀の弾丸が無いか探そうとするのではなく、一つ一つの課題に地道に向き合っていこうという意志を表しています。
- 「お互いを尊重し助け合うこと」は個人ではなくチームで成果を出していくこと、そのために対立ではなく議論と協調を行うという、チームのカラーを表しています。
このように、一つ一つの言葉を選ぶための議論の中で、自分たちの存在意義や価値観をより厳密に捉えることができたと思います。
会社のミッション・ビジョン・バリューを自分たちの言葉にする
また、議論する中で、会社のミッション・ビジョン・バリューについて改めて振り返りながらワークを進めました。
メンバーの言葉を大事にするため、強引に全てを含めるような形にはあえてしませんでしたが、自分たちが大事にしている存在意義や価値観を率直に挙げつつも、会社の掲げるミッション・ビジョン・バリューとしっかりとリンクしたものになりました。
- 「チーム・顧客・社会に対して誠実に」というバリューは、「ユーザー・組織のために技術を研鑽する」という姿勢や「お互いを尊重し助け合う」という価値観に表れています。
- 「速く学び、変わり続けよう」というバリューは、改善していくための心構えとして「一足跳びではなく確実に改善し続ける」という形で表現しています。「二歩先でもなく、三歩先でもなく、一歩先を提示する」という会社のビジョンにも絡めています。
目指す方向性を書き出す
目指す方向性は「中長期でどういう状態になりたいか?」という意図がありますが、あまりに長期のことはイメージがしづらいと思い「今年度目指したい理想の状態とは?」という内容にしました。 「技術負債に捕らわれず」の詳細はこちらをご覧ください。「人の異動に左右されず」は、現在プロダクト本部全体で行われている職能横断チームへの移行に関連しており、チーム編成の変化にも柔軟に対応できるような仕組みづくりをしたいという気持ちが込められています。
ミッションステートメントはアップデートしていくもの
以上が、Chatworkのフロントエンド開発部ミッションステートメントのご紹介でした。
今回決定したミッションステートメントがチームの良い拠り所となってくれるように願っています。 一方で、運用する中でまだ具体性が欠けていたり、適用しづらい場面も出てくると思います。今回のワークで終わりとせず、絶えず議論しながらより良いものへアップデートし続けたいと考えています。
最後になりますが、Chatworkではミッションステートメントに共感し、一緒にフロントエンドをより良いものにしてくれるエンジニアを募集しています。 このステートメントにふさわしいとてもいいチームなので、興味がある方はぜひご応募ください!